国語研究室は、今から120年前の明治30年(1897年)に上田万年(かずとし)によって東京大学(当時の帝国大学文科大学)に設立されました。国語”学”研究室ではなく国語研究室という名称であるのは、開設当初は大学内の一研究室という立場に留まらず国家の研究機関という性格を帯びていたことを反映したものであり、現在もその名称を変わらず用いています。
研究対象は「日本語」全般であって、言語の各側面からは音声音韻・文字表記・語彙・文法・文体等、時代的には奈良時代以前から現代まで、地理的には共通語のみならず諸方言まで、日本語のあらゆる側面が研究対象です。
当研究室が開講する授業は、国語学(日本語学)の入門的概説から、より専門的な分野の講義、少人数での討論形式の演習、研究室の所蔵する貴重な古典籍(奈良・平安・鎌倉時代の写本多数を含む)を用いての演習などに及び、これらに主体的に取り組むことによって、日本語を科学的に取り扱うための幅広い知識と経験とを得ることができます。
学部生はこうした授業によって3・4年次で国語学の基礎的なノウハウを修得し、各自の興味関心に則ってテーマを選択して卒業論文を執筆することができます。また大学院生も、各々の問題意識に基き定めたテーマについて、研究室の蔵する豊富な文献を用いながら日々研究を行っています。
なお現在の専任教員は、肥爪周二教授が漢字音韻学・悉曇学を主軸とする音韻史を、小西いずみ准教授が日本語の方言を、林淳子准教授が日本語の文法を、それぞれ専門としており、特にこれらの分野に関心のある学生にとっては又とない学びの場が提供されます。また専任教員の専門から外れる分野についても、学外の専門研究者を非常勤講師として適宜招聘することで、学生の幅広いニーズに応えるべく努めています。
研究組織としては、国文学研究室と共に「東京大学国語国文学会」を運営し、学会誌『国語と国文学』を刊行しています。国語研究室独自の活動としては、2005年以降『日本語学論集』を毎年刊行しています。
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